国立感染研の研究員である岡田晴恵先生の講演に行ってきました。
演者の岡田晴恵先生は薬学部卒で、現在は国立感染研の研究員として田代眞人先生の下で働いておられます。
新型インフルエンザについては、日本の最前線におられる1人です。
また、岡田先生は日本ペンクラブの会員で、感染症、特に新型インフルエンザについてたくさんの著書があります。
岡田先生の講演は、非常に熱がこもっていて、「強く叫ばれている」という表現を地で行くしゃべり方でした。
岡田先生の思いが伝わり、とても印象に残った講演会でした。
新型インフルエンザについてよく知らなかったのですが、その怖さや準備の必要性がよくわかりました。
新型インフルエンザとは
- トリインフルエンザが変異して、ヒトからヒトへ強い伝播力をもったもの (トリ型インフルエンザが種の壁を越え、感染効率が高まりヒト型になったもの)
- 過去27年に1度パンデミックを起こしている(スペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜ)
- 1968年の香港かぜ以来起こっていないのは、トリインフルエンザが原因だとわかっていて鳥をどんどん殺しているから
- 次はH5N1やH9N2などの可能性が挙げられている
- "if"ではなく"when"の問題
- 新型インフルエンザとしてパンデミックを起こす一番可能性が高いのが、H5N1
- すでにトリでは猛威をふるっていて、5億羽が処分されている
- 強毒型
- ヒトでの感染は現在までに404人、致死率63%(37%~88%)
- トリ→ヒトだけでなく、ヒト→ヒト感染もすでに報告されている
- 感染は40歳以下に多く、10代・20代の致死率は70%に達する
- 「インフルエンザ」とは異なる新しい重症疾患
- 上気道感染だけでない
- 全身疾患+サイトカインストーム
- ウィルスは全身から検出される
- 多臓器不全、ウィルス性肺炎、ARDS、腸管感染(下痢)、脳炎、心筋炎、鼻出血、歯肉出血、胎盤胎児感染
- ウィルスは、咽頭、肛門、便、尿、血液から採取可能
- 不顕性感染はない
- 潜伏期間4日
- ウィルス排出は潜伏期間中から2週間 →検疫でひっかけられない
- 感染経路は、飛沫感染、経口感染
- 治療は、タミフルの48時間以内の投与
- 1日4錠を10日間(通常量の倍、通常期間の倍)
- 予防投与は1日1錠
- 1日以内だと100%助かっている
- 飲んでいない人はほぼ全員死んでいる
- ARDSなどに対するステロイドパルスは禁忌
- 3波あり
- 日本の死亡者数は厚生労働省の推定(17~64万人)よりも多く、弱毒型210万人、強毒型650万人?
- 致死率2割で感染者・死亡者が最大に
- 致死率が高い方が感染が広がりやすい訳ではない
- 空港は4つに限定(成田、関空、中部、福岡)
- 結局、重症・軽症に関わらず自宅療養
- 水・食糧は2か月分備蓄
- 15歳以下にのためにアセトアミノフェン備蓄
- マスクは1人25枚備蓄
- 鶏卵を使って作成するので、鶏卵が律速段階
- パンデミックワクチン
- 流行が始まって半年以上かかる
- 第1波に間に合わない
- プレパンデミックワクチン
- 重症化と全身感染を阻止
- 感染は阻止できない
- 70%の国民に接種すると、パンデミックを阻止できる
- 誰から接種するか →社会機能維持に必要な職種、ハイリスク者(10代・20代)
- 2回接種、その後2週間で免疫できる →流行が始まってからでは間に合わない
0 件のコメント:
コメントを投稿