2009年10月12日月曜日

「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(加藤陽子)

それでも、日本人は「戦争」を選んだ
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
朝日出版社 2009-07-29
売り上げランキング : 37

おすすめ平均 star
star今を知ることが先では、今足元が崩れてきてる
star空気が支配する日本人の思考回路が理解できる本です!
star難しいからこそこのような内容の教育が国民向けに必要であるのでは

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
久しぶりに「いわゆるビジネス書」以外の本を読みました。
本屋さんで、平積みにされていて、目につきました。

著者は、東大文学部の加藤陽子教授です。
大学受験では日本史を専攻し、明治~昭和の戦争に興味がありましたが、「何となく掴めない」という思いがあったために、この本を手に取りました。
この本では、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変・日中戦争、太平洋戦争の5つの戦争について、なぜ日本が戦争をしたのか、国内・海外の情勢から書かれています。
資料に基づいて客観的に書かれている印象です。

高校での5日間の講義をもとに書かれているので、説明がとてもわかりやすいです。
大人でも十分読み応えがあります。
この本を読んで、素直に「歴史は面白い!」と思い、高校時代にこんな授業を受けたかったです。

読んでいて衝撃的だったのは、胡適の「日本切腹・中国介錯論」(1935年)です。
中国が日本に2~3年負け続けて、米ソを引きこむ、というものです。
その予想通り、中国がなかなか降伏しないために、深みにはまった日本は米ソと戦い敗北します。

また、第一次世界大戦は日本とはほとんど関係ないと思っていましたが、大いに関係があったのですね。

歴史研究の醍醐味
「9・11テロ」と近衛文麿の「国民政府を相手とせず」は同質 
→ 全く異なるはずの国家に共通点
特殊の中に普遍を見る

戦争の目的
膨大な戦死者が出たとき、国家は新たな「憲法=社会契約」を必要とする
戦争は国家間の関係における「憲法=主権や社会契約」に対する攻撃
→ 戦争の目的は、相手国の憲法を変えること

日本と中国の関係
日本人と中国人にとって、戦争・争いはgive and takeの1つの形態に過ぎない
長い間、二国間の均衡をどちらがリードするか争われてきた

日本の植民地計画
安全保障の利益を第一目的に植民地を獲得

第一次世界大戦
日本は被害少なかったが、国家改造論「変わらなければ国が滅びる」
パリ講和会議は空前の外交戦(日本からも牧野伸顕、松岡洋右、近衛文麿、吉田茂などが参加)
1923年、日本はアメリカ(次いでロシア、中国)を仮想敵国に

満州事変・日中戦争
満州事変は、謀略で始まった作戦
日中戦争は、偶発的事件
石原莞爾の最終戦論: 世界最後の戦争は日米の航空戦
胡適の「日本切腹・中国介錯論」

太平洋戦争
アメリカが日本の南進に報復したのは、ドイツ戦で苦しいソ連を助けるため
太平洋戦争のために資金を貯めていた(1940年だと3割日中戦争、7割がまだ始まっていない太平洋戦争の準備)
真珠湾が無防備だったのは、海底スレスレまでしか沈まないように魚雷を落とす技術はないと侮っていたから
ドイツは共産主義を倒すため、中国との合理的な取り引きを捨て、日本と同盟した
戦死者の9割が最後の1年半で死亡
太平洋戦争は1944年6月のマリアナ沖海戦で決着が着いていた
1945年2月から民需関連株が上昇
敗戦時の人口の9%が引き揚げを体験

0 件のコメント: