2008年11月3日月曜日

はじめての課長の教科書(酒井 穣)

ビジネス書その1


はじめての課長の教科書

以前、酒井穣さんの最新著書をこのブログで取り上げたら、早速コメントが入っていて本当に驚きました。
精進すれば大迫力!: あたらしい戦略の教科書(酒井穣)
ちゃんとチェックしていてコメントまで入れる、すごい人ですね。
コメントを入れてくれた著者の方は初めてです。
ちょっと感動して、即座にこの本も注文した次第です。

この本は、中間管理職のバイブルと言えるような本です。
とてもよくまとまっていて、中間管理職になる前に読んでおいて損のない本です。

医師の世界では、課長というのは、どれぐらいのポジションでしょうか。
これはなかなか難しい問題です。
内科や外科のトップは、「部長」でよいでしょう。
医長は「係長」でよいでしょう。
これらに対して、「課長」に相応するポジションは、なかなかしっくりくるものがありません。
病院の規模や医者の数によるでしょう。
病院によっては、消化器内科部長や心臓外科部長も「部長」に入るでしょうし、「課長」止まりかも知れません。

はじめに
キャリア形成におけるボトルネック
一生に一度は、課長に近い立場で仕事をするチャンスが来る
日本の組織は、三元論: 経営者、中間管理職、末端社員
→日本型ミドル・アップダウン
課長や係長のような他の中間管理職より難しく重要
野中郁次郎のナレッジ・マネジメント理論(日本初のマネジメント理論)

課長って何?
現場のリーダーかつ最下位の管理職
構成員10名以上の組織の長、または二係以上の係を統括
予算管理に実質的な責任をもつ管理職の中では最下位ポジション
経営者と直接仕事の話ができる最下位ポジション
法的にも管理職と認知される最下位ポジション
部下の業績や能力を評価(査定)できる最下位ポジション
係長→課長:キャリア形成の大きなひとつの山
現場の知識では、部長は課長に全く歯が立たない→「責任は俺が取るからあとは自由にやれ」というスタンス
課長はマネージャー寄りで、経営者はリーダー寄りに位置する
最重要の仕事=部下のモチベーションを管理する
→モチベーションと業績には深い相関がある
部下が「自分は会社に大切にされている」という実感をもって仕事に取り組めるかどうか
部下一人ひとりを徹底的に熟知する
課長は、今後「社内ベンチャー社長」になる
情報の重なりが少ない組織では、イノベーションが起こりにくい
組織の将来を担うエース級人材は、ルーチン・ワークだけをこなすのに相当苦痛を感じる
中間管理職は、ルーチン・ワークから逸脱する例外をすばやく発見し、バランスの取れた決断を下す
→その柔軟性が役職の権威を正当化する
ミドル・アップダウン(野中郁次郎):中間管理職は企業活動における知的創造の中心
→現場から「重要な現場情報」を引き上げ、それを「経営者が描いた大きなビジョン」を繋ぐために知恵を絞る

8つのスキル
1) 部下の失敗は、課長の失敗
課長が船から逃げるのは、部下を逃がした後、一番最後であるべき
2) 人前で部下を誉める
3) 人陰で叱る
人は自らを誰かに「変えられる」ことにとても強く抵抗する
未熟な人格は、叱られることを自分への人格攻撃と見なす傾向がある
4) 現場を観察し次を予測
動く回る管理職=MBWA: Management By Wandering Around
細かくチェックし、些細なことでも指示を出す=「マイクロ・マネジメント」→×
教育をしたら、部下を信頼し、思う通りに仕事をさせる→◎
現場で「熱(ホット・スポット)」を感じる
5) ストレス管理
ゾーン1:ストレスが低すぎる →意気消沈、退屈
ゾーン2:ストレスをかけるほどパフォーマンスが上がる →満足、元気バリバリ
ゾーン3:ストレスをかけるほどパフォーマンスが下がる →現実に疑問、ラジカルな状態
→ただし、イノベーションが起こるゾーンでもある
ゾーン4:ストレスが多すぎる →事故・ミスの可能性、モラル低下
6) 部下をコーチング
問題の答えはその人の中にこそ存在する
アドバイス、指示、提案は禁忌
7) 仕事のアレンジ
フロー体験=熱中している状態
8) オフサイト・ミーティングでチーム結束
立場・肩書きなし

3つの非合理なゲーム
1) 予算管理
全ての数値目標に説得力のあるストーリー
予算とは約束、一度決まれば100%達成
2) 人事評価
本質的テーマ
・有限なカネとポジションをいかに従業員に割り振るか
・割り振った結果をどのように納得させるか
低い人事評価の理由をくどくど言わず、今後期待していることやスキルアップの機会を提案し勇気づける
3) 限られたポストと予算をめぐる社内政治
社内政治は仕事に必要な技術
誰がキーマンか
いたるところで政敵を誉める
自分がキーマンになることを目指す

避けることが出来ない9つの問題
1) 問題社員が出現
経営者や人事部は課長がどう対処するのか見ている
Cクラス社員にもこなせる仕事を見つけて与える
ただ、25人に1人は良心を持たない
2) 部下が「会社を辞める」と言い出す
部下の退職は上司の責任
課長が部下からクビを宣告されるに等しい
優秀なニワトリは、エサの中から栄養価の高い上等な部分を食べ、他のニワトリと比較にならない力を付ける
Aクラス社員が本当に会社を辞めるのは、上等なエサがどこにもないとき
Aクラス社員は、能動的に自らが原動力となれる仕事を常に探している
→そういった仕事をAクラス社員に与えられるかが課長としての重要なチャレンジ
3) 心の病にかかる部下が出現
メンタル・ヘルスの基礎を学んでおく
4) 外国人の上司・部下を持つ
5) ヘッドハンターから声がかかる
転職後は、「前の職場では~」は禁句
6) 海外駐在を求められる
帰国後のポストの保証はない
7) 違法スレスレの行為を求められる
「収益の質」を常に問う態度が大切
8) 昇進させる部下を選ぶ
必ず「本物」を昇進させる
・会社全体の利害を考えて、会社を成長させることができる人物
・無私に優れた仕事をすることが出来る人物
「本物」は生意気、無礼でかわいげがない人材であることが多い
9) ベテラン係長が言うことをきかなくなる
自らを権威付けする
・社内ネットワークの広さをアピール
・「階級の違い」を誇示
・社会的な証明を得る

課長のキャリア戦略
ビジネスの世界はすべて二種類のコインで支払われる
すなわち、現金を経験
まず、経験をとること、現金は後からついてくる
リーダーシップの本質=価値観や雇用形態を越えて、多くの人から「この人と一緒に仕事をしたい」と思われること
1) 自らの弱点を知る
負けパターン
怒りに任せて行った判断は、怒りの解消が目的になってしまい、合理的なものにはならない
特に、怒りに任せてメールを書かない
2) 英語力
2050年には世界の半分が英語を話せる
英語圏のネットは、日本語圏の10倍
最も使われる英語は、ブロークン・イングリッシュ
3) 緩い人的ネットワークを幅広く形成
コネの80%は「弱い絆」
4) 部長を目指す
部長は、年収が人材市場での価値より高くなる
→転職で給与が下がる典型的地位
事実上の「あがり」
5) 課長止まりのキャリアを覚悟する
課長の失業はスキル不足が原因ではない
6) 社内改革のリーダーになる
最も強い者でなく、最も賢いものでなく、変化できる者が唯一生き残る(ダーウィン)
7) 企業を考える
8) ビジネス書を読んで学ぶ
「良書」を選択的に読む

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